1.はじめに

賃貸物件を探すとき、まず目に入るのが「駅から徒歩◯分」という情報。しかし、実際に住んでみると「こんなに遠かったっけ?」と感じた経験がある人も多いのではないでしょうか。
徒歩分数の表記には不動産業界ならではのルールがあり、私たちの感覚とはズレていることがあります。物件探しで失敗しないためには、その“数字のカラクリ”を知っておくことが大切です。
本記事では、徒歩分数の計算方法や、実際にズレが生じる理由、注意すべきポイントまでを詳しく解説していきます。

2. 徒歩分数の計算方法

徒歩分数は“80m=1分”で計算されている
不動産の広告で表示されている「徒歩◯分」は、実際に誰かが歩いて測った時間ではありません。これは国土交通省の「不動産の表示に関する公正競争規約」によって、「徒歩1分=80メートル」で計算するというルールが定められているのです。
この基準は、健康な成人が平坦な道を歩いた場合の平均的なスピード(分速80メートル)を元にしています。たとえば、駅から物件までの距離が400メートルだった場合は「徒歩5分」と表示されることになります。
ただし、この距離計算には以下のような点が含まれません
徒歩分数に含まれないもの
信号や踏切での待ち時間
坂道や階段の有無
夜道の安全性や街灯の明るさ
実際の歩行ルートが遠回りになる場合
さらに、地図上の最短距離で計算されることもあり、実際には通れない道や私有地を通るルートを含んでしまっているケースも。
つまり、「徒歩◯分」はあくまで“理論上の目安”であり、体感とは必ずしも一致しないのです。
3. 徒歩分数が実態とズレる理由

「徒歩5分って書いてあるのに、実際は10分くらいかかった…」そんな経験はありませんか?これは徒歩分数の表示と、実際の体感時間がズレるさまざまな要因があるからです。以下に、代表的なズレの理由を紹介します。
信号・踏切の待ち時間が含まれていない
徒歩分数の計算では、信号待ちや踏切の待ち時間は考慮されていません。特に駅前や大通りに面した物件の場合、信号をいくつも渡らないと辿り着けないケースがあり、体感としてはかなり遠く感じます。
実際のルートと最短ルートが違う
表示されている徒歩時間は、地図上の最短ルートを基にしていることが多いです。しかし、私有地や通行禁止の道を通っているケースもあり、実際には遠回りを強いられることもあります。
坂道や階段などの高低差
80メートル=徒歩1分という基準は「平坦な道」が前提ですが、坂の多い地域では同じ距離でも時間が大きく変わります。特に、毎日の通勤や買い物を考えると、高低差は大きなストレス要因になります。
駅の「入口」ではなく「改札」までの距離が無視されている
多くの表示は「駅まで徒歩◯分」と書かれていますが、その“駅”がどこを指すのかも要注意です。駅の敷地の端からの距離で計算されている場合もあり、実際に改札にたどり着くまでにさらに時間がかかることもあります。特に大型の駅や地下鉄では、駅構内を数分歩くことも珍しくありません。
4. 表記の“盛りすぎ”に注意

物件情報を見るときに、「駅徒歩10分以内」と書かれているだけで、なんとなく便利そうに感じるものです。不動産業者もそれをよくわかっているため、少しでも物件の印象を良くするために、徒歩分数の表記を“ギリギリまで短く”見せることがあります。
「徒歩10分以内」は人気のライン
実際に、賃貸物件では「徒歩10分以内」という条件をつけて検索する人が非常に多く、その条件に入っているかどうかでアクセス数や反響が大きく変わります。
そのため、たとえば実際には徒歩11分程度かかる物件でも、「最短ルートなら10分」「80m×10=800m以内だからギリセーフ」として、無理やり「徒歩10分」と記載するケースがあるのです。
表記は“誤魔化してはいけない”けど…
不動産広告には「虚偽表示をしてはいけない」というルールがありますが、「多少の盛り」はグレーゾーンになりがちです。
特に、80m単位で四捨五入せずに切り捨てて表示する業者も存在しており、実際の距離が799mでも801mでも「徒歩10分」とされることがあります。
他にも“盛られがち”なポイント
「徒歩5分」の割に、内見時に「ちょっと遠いですね…」と感じるケースは要注意
駅だけでなく、スーパーやコンビニまでの距離も短く見せていることがある
「〇〇駅徒歩5分!」と大きく書きながら、実際には別路線の出口から遠い場合も
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5. 実際に確かめる方法


「徒歩◯分」の表記にはルールとカラクリがあると分かっても、実際にどれくらいの距離なのかは、自分で歩いてみるまで正確にはわかりません。物件選びで後悔しないためにも、内見の際や契約前に自分の足で確かめることがとても重要です。
駅から実際に歩いてみる
最も確実なのは、物件の内見時に「駅の改札から物件の玄関まで」自分で歩いて時間を計測することです。信号待ち、踏切、坂道、夜道など、物件情報では見えない部分まで体感できます。
ポイント
Googleマップの徒歩ナビ機能も参考になるが、信号や階段の有無などは現地でしか分からない
「駅までの道のり」が安全で通いやすいかも確認(人通り、街灯の明るさなど)
通勤・通学時間帯に歩くのがおすすめ
朝や夕方など、実際に自分が使う時間帯に歩いてみることで、混雑具合や治安、交通状況も把握できます。昼間は静かでも、夜になると雰囲気がガラッと変わるエリアもあるので要注意です。
物件からの生活動線もチェック
駅までの距離だけでなく、スーパー、コンビニ、病院、バス停など、日常生活でよく使う場所へのアクセスも一緒に歩いてみるのがおすすめです。物件の「暮らしやすさ」は徒歩分数だけでは測れません。
6.まとめ

賃貸物件の「徒歩◯分」という表記は、実際の体感とズレることがよくあります。業界で定められた“80m=1分”というルールに基づいて計算されているため、信号や坂道、駅構内の移動などは考慮されていません。
また、印象を良く見せるために、ギリギリの数値で「徒歩10分以内」などと記載されるケースもあります。物件選びで失敗しないためには、数字だけを鵜呑みにせず、自分の足で確かめることが大切です。
実際に歩き、周囲の環境や安全性も含めて、総合的に判断しましょう。

