1. はじめに
春から夏にかけて、賃貸マンションやアパートのベランダに「鳩」や「カラス」が巣を作ることがあります。糞害や騒音、羽やゴミによる汚れなど、入居者にとっては深刻なトラブルです。
しかし「勝手に巣を撤去してもいいのか?」「法律違反にならないのか?」と不安に感じる人も少なくありません。
この記事では、賃貸住宅での鳥の巣の撤去に関する法律上の注意点や、適切な対処法についてわかりやすく解説します。
2. 野鳥の巣の撤去は法律に注意

鳩やカラスの巣でも「勝手に撤去」は法律違反?
多くの人が見落としがちですが、鳩・カラスを含むほとんどの野鳥は、法律で保護対象になっています。そのため、巣を見つけたからといって、すぐに壊す・撤去することは原則として禁止されています。
鳥獣保護管理法とは?

鳥や獣などの野生動物を守るために、日本では「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(通称:鳥獣保護管理法)」が定められています。
この法律では次のような行為が禁止されています
禁止行為
野鳥やその卵・ヒナ・巣を無許可で捕獲・損壊・移動すること
許可を受けずに追い払う、傷つける、巣を撤去すること
違反するとどうなる?
鳥獣保護管理法に違反した場合、以下のような重い罰則が科されることがあります。
違反罰則
1年以下の懲役または
100万円以下の罰金
たとえ「自分のベランダだから」「衛生面で困っているから」という理由でも、卵やヒナが巣にいる状態で勝手に撤去することは違法行為となる可能性が高いのです。
では、撤去できるのはどんな場合?
以下の条件なら、撤去しても違法にはなりません。
巣が空である場合(※十分に確認すること)
ヒナが巣立った後で空になった巣
長期間使われておらず、鳥が戻る様子もない巣
鳥が巣作りを始める“前”の段階
小枝や葉などを持ち込んでいる途中(巣が完成していない)
営巣の初期段階で、まだ卵もヒナもいない
※ただし、判断に迷う場合は、必ず管理会社・専門業者に確認を。
3. 自分で撤去するのはNG?管理会社への連絡が先!
賃貸のベランダは「共用部分」の可能性がある
一見、自分専用に見えるベランダですが、賃貸住宅では“共用部分”に該当することがほとんどです。これは、建物の構造上、避難経路や外観管理の対象になるためです。
つまり、住人が勝手に手を加えたり、工事・撤去などの作業を行うことは原則NG。たとえ鳥の巣であっても、無断で対応すれば原状回復義務違反や契約違反に問われる可能性があります。
勝手に撤去してトラブルになるケースも…
以下のようなケースは実際に起こり得ます。
管理会社が確認する前に住人が巣を撤去 → 鳥獣保護法違反の責任を問われる
養生テープやネットで封鎖 → 外壁に傷がつき、修繕費用を請求される
巣の撤去に失敗して鳥が凶暴化 → 隣室や共用部でクレームが発生
こうしたリスクを避けるためにも、まずは管理会社や大家さんに状況を報告するのが鉄則です。
連絡時に伝えるべきポイント
スムーズな対応をしてもらうには、以下の点を伝えるとよいでしょう。
鳥の種類(例:鳩、カラスなど)
巣の場所(ベランダのどの位置か)
巣の状態(完成しているか、卵やヒナがいるか)
写真を添えると、状況把握がスムーズ
管理会社が行ってくれる対応とは?
専門業者への手配
管轄の自治体への相談や許可申請
予防措置(ネット設置など)の検討
自分では動きにくい法的・物理的な手続きも、管理側が対応すれば安心かつスムーズに進められます。
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4. プロ業者に依頼することも視野に

卵やヒナがいる場合は「自力での撤去NG」
鳩やカラスの巣に卵やヒナが確認できる場合は、前述の通り、鳥獣保護管理法により勝手な撤去が禁止されています。このようなケースでは、必ず行政の許可を得たうえで、専門の業者に撤去を依頼する必要があります。
自力での撤去は、
法律違反(刑罰対象)
鳥に襲われるリスク
感染症や害虫の危険
といった重大な問題を引き起こすおそれがあります。
専門業者なら安心して任せられる理由
以下のような理由から、プロ業者への依頼は非常に有効です。
法律に基づいた対応
各都道府県からの「捕獲・撤去許可」を取得したうえで作業を実施
違法行為になる心配がなく、安全に撤去が可能
徹底した衛生管理
糞害やダニ・ノミの処理もあわせて対応
感染症(クリプトコッカス症、オウム病など)のリスクを軽減
再発防止策まで対応
防鳥ネット・スパイクの設置
ベランダの消毒・清掃
鳩が寄り付きにくくなる忌避剤の使用
業者依頼の流れと費用の目安
管理会社または大家に相談
許可申請の要否を確認
業者の手配・見積もり取得
撤去・清掃・予防施工
場合により定期メンテナンス
費用の目安(あくまで一般例)
| 項目 | 費用相場 |
|---|---|
| 巣の撤去のみ | 約5,000~20,000円 |
| 清掃・消毒込み | 約10,000~30,000円 |
| 防鳥ネット設置 | 約15,000~50,000円 |
※作業内容や地域、巣の規模によって大きく異なります。
誰が費用を負担する?
建物全体に関わる問題(外壁や共用部分)→ 管理会社・オーナー負担
個人のベランダに限った問題→ 原則入居者負担となることも
事前に契約書や管理会社とのやり取りをしっかり確認することが重要です。
5. 巣を作らせないための予防策

一度巣を作られてしまうと、撤去には法的手続きや業者の手配が必要になり、大きな手間と費用がかかります。
だからこそ、「作らせない工夫」こそが最も効果的な対策です。以下に、今日から始められる予防策を具体的に紹介します。
防鳥ネット・スパイクの設置
ベランダの手すりや天井、室外機の上などに防鳥ネットやスパイクを取り付けると、鳥がとまれなくなり巣作りを防止できます。
特に室外機や配管まわりは巣を作られやすい場所なので、重点的に対策を。
※設置には管理会社の許可が必要な場合があるので、事前に確認を。
ベランダに物を置きすぎない
ダンボールや古い家具、プランターなどの「障害物」が多いと、鳥にとっては安心して巣を作れる環境になります。
定期的に掃除し、風通しのよいスッキリとした状態を保ちましょう。
食べ物・水の放置はNG
ペットの餌、水皿、飲みかけの缶やお菓子の袋など、鳥がエサと認識するものは厳禁。
鳩やカラスは非常に学習能力が高く、「ここに来れば食べ物がある」と覚えてしまうと、継続的に来訪・営巣されてしまいます。
鳥を見かけたら「すぐ追い払う」習慣を
巣作りは何日もかけて進行します。最初に枝や藁を運んでいる段階で見つけてすぐ追い払うことが予防のカギ。
手を叩いたり、ホウキで軽く追い払うだけでも効果があります(※決して傷つけてはいけません)。
ベランダの出入りを頻繁にするだけでも「人の気配がある=危険」と判断して寄りつかなくなります。
忌避剤や音・光での対策も有効
ホームセンターやネット通販で販売されている「鳩よけジェル」「鳥よけスプレー」などは、鳥が嫌う成分や匂いを利用して忌避効果を狙います。
CDやアルミホイルを吊るして光の反射で威嚇する、鳥の天敵の鳴き声を模した超音波・音声機器も一定の効果があります。
定期的に状況をチェックする
一度追い払っても、数日後に再び来るケースも。
定期的にベランダの状態をチェックし、枝・糞・羽などを早期に発見→すぐ掃除を習慣にしましょう。
6. まとめ
ベランダに鳩やカラスの巣を見つけたとき、焦って勝手に撤去すると「鳥獣保護管理法」に違反する可能性があります。特に卵やヒナがある場合は、許可なく撤去すると処罰の対象になることも。
賃貸住宅ではベランダが共用部分に当たるケースも多く、まずは管理会社や大家さんに連絡して、適切な対応を相談しましょう。
法令を守りながら、専門業者の力も借りて安全かつ合法的に対処することが大切です。巣作りを予防する工夫もあわせて、快適な住環境を保ちましょう。
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