防音性が高い賃貸物件の選び方ガイド

1.はじめに

賃貸物件で暮らすうえで、意外と大きなストレスになるのが「音」の問題。隣の話し声や生活音、上階の足音など、音に敏感な人にとっては深刻な悩みになりかねません。

また、在宅ワークの増加や趣味で楽器を楽しむ人の増加により、防音性の高い賃貸物件へのニーズも年々高まっています。

この記事では、騒音トラブルを避け、静かで快適な生活を実現するために、防音性能の高い賃貸物件の選び方やチェックポイントを詳しく解説します。物件選びで後悔しないために、ぜひ参考にしてみてください。

2. 防音賃貸とは?

一般的な賃貸との違い

防音賃貸とは、隣室や上下階からの生活音、外の騒音などをできるだけ遮断できるように設計された賃貸物件のことを指します。一般的な賃貸物件にも一定の遮音性はありますが、防音賃貸はそれよりも高い遮音性能を備えている点が特徴です。

具体的には、防音性の高い建築構造(例:鉄筋コンクリート造)、二重サッシや防音ドアの設置、壁や床の厚み・素材へのこだわりなど、設計段階から「音に配慮された」仕様となっています。

防音賃貸が注目されている理由

近年、防音賃貸への関心は高まっており、その背景には以下のような生活スタイルの変化があります。

在宅ワークの増加

オンライン会議や集中した作業環境の必要性から、静かな住環境を求める人が増えています。

趣味の多様化

ピアノやギターなどの楽器演奏、YouTube撮影や配信など、自宅で音を出す趣味・副業を持つ人が増え、防音性のある部屋が求められるようになっています。

子育てやペットとの暮らし

泣き声や足音など、周囲に気を使う場面が多い家庭では、防音性の高い物件が安心材料になります。

防音賃貸は「完全防音」ではない?

注意したいのは、「防音賃貸」といっても完全に無音の環境が保証されるわけではない点です。防音性には限界があり、物件ごとに性能も異なります。そのため、名称だけで判断するのではなく、建物の構造や内見時の音の感じ方などをしっかり確認することが重要です。

3. 防音性能を左右する構造とは

賃貸物件の防音性能を大きく左右するのが「建物の構造」です。見た目では分かりにくい部分ですが、実は音の伝わりやすさに直結する重要なポイント。ここでは代表的な構造ごとの特徴を解説します。

鉄筋コンクリート造(RC造)

鉄筋コンクリート造は、防音性能の高い構造として非常に人気があります。壁や床に厚みのあるコンクリートが使用されており、音を吸収・遮断する力が強いため、隣室や上下階からの生活音がかなり軽減されます。

特徴

壁や床の厚みが20cm以上あることも

気密性が高く、外の音も入りにくい

冷暖房効率も比較的良い

ただし、物件によっては仕上げ材や施工精度により差があるため、RC造でも必ず静かとは限りません。

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)

SRC造は、鉄骨の骨組みに鉄筋コンクリートを組み合わせた構造で、超高層マンションなどに採用されることが多いです。RC造よりさらに耐震性や防音性が高い場合もあります。

特徴

頑丈で揺れにも強く、遮音性も優れている

家賃はやや高めになる傾向

高層マンションによく見られる

「とにかく音に悩まされたくない」という人には、SRC造の物件もおすすめです。

鉄骨造(S造)

鉄骨造は軽量で施工がしやすく、賃貸アパートなどでよく見られます。構造的にコストを抑えられる反面、防音性はRC造やSRC造に劣ります。

特徴

防音性はそこまで高くない

隣や上下階の生活音が聞こえやすい場合がある

木造よりは防音性がやや高い

鉄骨造でも壁の厚みや断熱材の有無で音の伝わり方は変わるため、内見時の確認が重要です。

木造

木造は音が伝わりやすく、最も防音性能が低い構造とされています。家賃が安めで選ばれることが多いですが、音に敏感な方にはあまりおすすめできません。

特徴

足音や話し声が響きやすい

壁が薄く、音の遮断が難しい

家賃は安い傾向がある

ただし、最近は高性能な断熱材や吸音材を使った「高気密・高断熱」の木造物件も増えており、すべてがNGというわけではありません。

構造は「広告だけで判断しない」

物件情報には「RC造」「木造」などの表記がありますが、それだけで防音性を判断するのは危険です。同じ構造でも、建築年数や施工会社、リフォームの有無によって大きく差が出ます。

最終的には「現地でどのくらい音が響くか」を自分で体感することが大切です。

あわせて読みたい☞線路沿い物件のメリット・デメリットを徹底解説!とは?

4. 内見時にチェックすべきポイント

防音性の高い物件を選ぶうえで、内見時のチェックは非常に重要です。広告や間取り図だけではわからない「実際の音環境」を、自分の耳で確かめる絶好の機会です。以下のポイントを意識して内見を行いましょう。

壁の厚さ・素材を確認する

壁を軽くノックしてみて、中が空洞のような音がする場合は、防音性が低い可能性があります。
コンクリート特有の「硬く、重たい音」が返ってくる場合は、防音性が高いことが多いです。

また、隣との壁にコンセントや収納が多い場合、壁が薄くなっていることもあるので要注意。

窓は二重サッシか?

窓から入ってくる外の音は意外と大きく、特に大通りや線路沿いの物件では重要なポイントです。
以下をチェックしましょう。

二重サッシ(ペアガラス)になっているか

サッシの隙間がしっかり閉まっているか

外の音(車、電車、人の声)がどの程度聞こえるか

窓周辺は遮音の弱点になりがちなので、要チェックです。

天井・床の厚みや構造

床や天井の作りによって、上下階の足音や物音の響き方が大きく変わります。以下を確認しましょう。

天井の高さや素材(薄い天井は音が響きやすい)

床を踏んだときの感触(ふわふわしていると、遮音材が入っていない可能性)

上階からの音が聞こえるか、住人がいる時間帯に内見できるとベスト

内見時に上の階から音がしたら、わざと耳を澄ませて確認してみましょう。

隣室の音の聞こえ方

壁を挟んだ隣の部屋から話し声、テレビの音、生活音が聞こえるかを確認しましょう。
誰かが在宅しているタイミングでの内見が理想です。以下のような工夫も

壁に耳を当ててみる

実際に音を立てて響き方を試す

日中と夜間で音の聞こえ方が変わることもあるため、可能なら複数回内見

共用部の音の反響具合

建物のエントランスや廊下、階段なども、音が反響しやすいかをチェックしましょう。
共用部で音が響く建物は、室内にも音が伝わりやすいことがあります。

廊下で話し声が響いていないか

エントランスで外の音がどれほど聞こえるか

階段の足音が部屋まで響いてこないか

静かな共用部は、建物全体の防音設計がしっかりしている証でもあります。

携帯で簡易チェックする裏ワザ

スマートフォンの騒音計アプリを使って、部屋の中の音量を測るのも一つの方法です。
一般的に、40〜50dB程度なら静かな環境といえます。
(※あくまで参考値ですが、複数の物件を比較する目安にはなります)

内見時のまとめポイント

チェック項目確認のコツ
壁の厚みノック音で判断、収納の位置にも注意
窓の仕様二重サッシか、外の音がどれだけ聞こえるか
床・天井の作り上下階の音の響き方、床の踏み心地
隣室の音の有無生活音、話し声が聞こえるか
共用部の反響音廊下や階段で音が響いていないか

あわせて読みたい☞内見の際に採寸すべき項目リスト

5. 不動産会社で確認すべきこと

防音性の高い賃貸物件を探すうえで、不動産会社に聞くべき情報も非常に重要です。現地でのチェックに加えて、事前に不動産会社にしっかり質問・確認することで、物件選びの失敗を防げます。

防音施工がされているかどうか

まず確認したいのが、「その物件にどのような防音対策が施されているのか」です。
聞くべきポイントは以下の通り

壁の構造(RC造・SRC造・木造など)

壁の厚みや防音材の有無

二重サッシや防音ドアなどの仕様

上下階の床や天井の防音構造

物件によっては「楽器可」「スタジオ仕様」など、特別な防音設計がされていることもあります。

過去に音に関するトラブルがあったか?

その物件で過去に騒音トラブルや苦情が出ていないかを確認するのもポイントです。不動産会社は管理会社からの情報を持っていることが多く、トラブル履歴を知っている場合があります。

質問例

「過去に音に関する入居者からの相談はありましたか?」

「楽器やペットの音に関するクレームはありましたか?」

少し踏み込んだ質問をしても問題ありません。快く教えてくれる担当者は信頼できる場合が多いです。

上下・隣室の住民層

実は音の感じ方は、隣人の生活スタイルや家族構成によっても大きく変わります。

上の階に子どもがいると、走る音や飛び跳ねる音が響きやすい

隣が夜勤の人だと生活リズムが逆で音が気になりやすい

単身者が多い物件なら、比較的静かな傾向にある

不動産会社に「この部屋の上下や隣にはどんな方が住んでいるか」を軽く聞いてみましょう。全てを教えてもらえるわけではありませんが、ヒントになることは多いです。

防音に関する入居条件や制限

「防音性が高いから安心」と思って入居した後に、「楽器禁止」「夜間は大声禁止」といった制限事項があるケースもあります。契約前にしっかり確認しましょう。

確認すべき項目

楽器演奏の可否(時間帯制限あり?)

録音・配信など音を出す行為の可否

ペットの鳴き声に関する注意点

自分のライフスタイルに合った条件かどうか、必ず事前に確認してください。

騒音対策を売りにしている物件の紹介を依頼

不動産会社のスタッフに「防音性を重視している」と明確に伝えることで、最初から**条件に合う物件だけを紹介してもらいやすくなります。担当者によっては、通常の物件検索では出てこない「非公開物件」を提案してくれることもあります。

おすすめの伝え方

「RC造以上で、静かな物件を探しています」

「隣や上下階の音が気にならない物件を希望しています」

「楽器や配信である程度音を出す予定があります」

6. どうしても音が気になるなら…?

完璧な防音を実現するのはなかなか難しく、どれだけ構造や物件を選んでも「音が気になる」というケースはあります。そんなときは、自分でできる対策を取り入れることで、音ストレスを軽減することが可能です。ここでは、簡単にできる防音対策や便利な防音アイテムをご紹介します。

防音カーテン・防音ボードを活用する

防音カーテン

遮音性の高い厚手のカーテンを使うことで、窓からの外音の侵入を軽減できます。特に道路沿いや線路沿いの物件には効果的。遮光・断熱効果もあるため、年間を通じて使えるのも魅力です。

防音ボード・吸音パネル

壁に設置することで隣室からの音の侵入を軽減したり、自分の声や音が外に漏れるのを防いだりできます。軽量タイプで賃貸でも取り付けやすい商品も多く、在宅ワークや配信者にも人気。

防音マット・カーペットで床対策

床に敷くことで、自分の生活音(足音・物を落とす音など)を下階に伝えにくくできます。また、上階からの衝撃音を和らげる効果も。厚手のジョイントマットや防音カーペットは、子どもやペットがいる家庭にもおすすめです。

家具の配置を工夫する

本棚やタンスなどを隣の部屋との間に配置することで、遮音効果を高めることができます。音は「空気の振動」で伝わるため、壁際に重い家具を置くことで音の通り道を減らす工夫になります。

ホワイトノイズを活用する

ホワイトノイズとは、テレビの砂嵐のような「一定の音」を流すことで、周囲の音をマスキング(かき消す)する方法です。

スマホのアプリや専用のホワイトノイズマシンを使えば、急な物音や生活音に神経質になるのを防ぐことができます。

耳栓・ノイズキャンセリング機器の使用

高性能耳栓:睡眠中や集中したいときに効果的。

ノイズキャンセリングヘッドホン:外音を自動で打ち消す機能があり、作業中や通話時に便利。

生活音すべてを遮断することは難しいですが、「聞かない工夫」をすることで、精神的なストレスはかなり軽減されます。

7.まとめ

音のストレスは、毎日の生活にじわじわと影響を与える大きな要因です。防音賃貸を選ぶ際は、建物の構造や内見でのチェック、不動産会社への確認など、複数の視点からしっかり見極めることが大切です。

完全な防音は難しくても、自分に合った対策を取り入れることで、静かで快適な暮らしにぐっと近づけます。物件選びは人生の質を左右する大切な選択。

今回ご紹介したポイントを参考に、音に悩まされない理想の住まいを見つけてください。