1. はじめに

賃貸物件を契約する際、「手付金」や「申込金」といった費用が発生することがあります。しかし、これらの意味を正しく理解していないと、思わぬトラブルに巻き込まれることも。
手付金は契約を正式に成立させるためのもので、契約後にキャンセルすると返還されないことが多いのに対し、申込金は借主の意思表示のための預かり金で、契約に至らなければ基本的に返還されるべきものです。しかし、実際には「返金不可」と言われるケースもあるため、注意が必要です。
この記事では、手付金と申込金の違いや、トラブルを避けるためのポイントについて詳しく解説します。安心して賃貸契約を進めるために、ぜひ最後までご覧ください!

2. 手付金とは?

手付金の基本的な意味
手付金(てつけきん)とは、契約を成立させるために支払うお金のことを指します。不動産売買契約では一般的ですが、賃貸契約においてはあまり使われることはありません。
もし借主が契約後にキャンセルした場合、手付金は返還されず、場合によっては違約金が発生する可能性もあります。一方で、貸主側が契約を解除する場合には、手付金の倍額を返還するといったルールが適用されることがあります。
手付金の種類
手付金には主に以下の3つの種類があります。
| 種類 | 内容 | 賃貸契約での適用 |
|---|---|---|
| 証約手付 | 契約の成立を示すための手付金 | ほぼ使用されない |
| 解約手付 | 契約の解除時に、借主側は手付金を放棄、貸主側は倍返しで解除可能 | まれに使用されることがある |
| 違約手付 | 契約違反があった場合の違約金的な性質を持つ | 賃貸ではほぼ適用なし |
一般的に「手付金」といえば、解約手付の意味合いを持つことが多いです。
賃貸契約における手付金の取り扱い
賃貸契約では、手付金はあまり使われませんが、不動産会社や物件によっては「手付金」と称して契約締結時に一部の費用を求められるケースがあります。この場合、そのお金がどのように取り扱われるのかを事前に確認しておくことが重要です。
特に、手付金が「解約時に返金されない」場合があるため、支払う前に以下の点をしっかり確認しましょう。
手付金の性質(返還の有無)を確認する
契約解除時のルールを把握する(いつまでならキャンセル可能か)
書面で手付金の詳細を残してもらう
手付金に関するトラブル例
ケース①:キャンセル時の返金トラブル
契約後、転勤が決まりキャンセルを申し出たが、「手付金は返還できない」と言われた。しかし、契約時にその説明がなかったため、貸主と交渉することに。
ケース②:手付金の意味が曖昧だった
「手付金」として支払ったお金が、実際は「申込金」だった。契約前のキャンセルだったため、本来は返還されるはずなのに、不動産会社が返金を渋った。
こうしたトラブルを避けるためにも、手付金の性質を理解し、契約前に細かく確認することが大切です。
3. 申込金とは?

申込金の基本的な意味
申込金(もうしこみきん)とは、借主が「この物件を借りたい」という意思を示すために支払うお金のことを指します。契約の前段階で支払われるものであり、あくまで預かり金の性質を持ちます。
申込金を支払ったからといって、契約が確定するわけではなく、契約が成立しなかった場合は全額返還されるのが原則です。ただし、不動産会社によっては「返還しない」と主張するケースもあるため、事前の確認が重要です。
申込金の目的と役割
申込金には、以下のような目的があります。
| 目的 | 内容 |
|---|---|
| 入居希望の意思表示 | 「この物件を借りたい」という意思を明確に示すために支払う |
| 他の入居希望者への制限 | 申込金を支払うことで、一定期間他の人に契約を取られないようにする |
| 審査手続きの開始 | 申込金を受け取ることで、不動産会社が入居審査を進めることが多い |
ただし、法律上は申込金を支払わなくても申し込みは可能であり、申込金を必ず支払う必要はありません。
申込金の金額の相場
申込金の金額には特に法律上の決まりはありませんが、一般的には家賃の1ヶ月分以下であることが多いです。
数千円〜1万円程度 … 申し込みの意思を示すための少額なケース
家賃の1ヶ月分程度 … 一部の不動産会社で請求されるケース
高額な申込金を請求された場合は注意が必要です。不動産会社によっては、本来返還されるべき申込金を「手付金」や「前払い金」として扱い、返還を拒否することがあります。
申込金と手付金の違い
申込金と手付金は、性質が大きく異なります。
| 項目 | 申込金 | 手付金 |
|---|---|---|
| 目的 | 借りる意思を示すため | 契約を確定させるため |
| 契約の成立有無 | 申し込み段階であり、契約ではない | 契約成立後に支払う |
| 返還の可否 | 契約に至らなかった場合、全額返還 | 基本的に返還されないことが多い |
| 法的拘束力 | なし(支払わなくても申し込み可能) | あり(キャンセル時に損失が発生) |
申込金に関するトラブルと注意点
申込金をめぐるトラブルは多く、特に以下のようなケースには注意が必要です。
トラブルケース①:申込金が返還されない
事例:申し込み後に他の物件を選ぶことにしたが、「申込金は返還できない」と言われた。
対策:申込金は本来返還されるべきものであり、事前に「返還ルール」を書面で確認することが重要。
トラブルケース②:契約を強制される
事例:「申込金を支払ったので、契約をキャンセルできない」と言われた。
対策:申込金に法的拘束力はないため、契約前ならキャンセル可能。不動産会社の説明が不適切な場合は消費者センターに相談を。
トラブルケース③:高額な申込金の請求
事例:家賃の2ヶ月分の申込金を求められた。
対策:申込金に明確な上限はないが、家賃1ヶ月分以上を請求された場合は慎重に判断し、不動産会社の評判を調べるのも有効。
申込金を支払う前に確認すべきポイント
- 契約に至らなかった場合、申込金は全額返還されるか?
- 申込金を預かった証明書(領収書)は発行されるか?
- 申し込み後のキャンセルが可能か、条件を確認したか?
- 法外な高額な申込金を請求されていないか?
もし「返金しない」と言われた場合、消費者センターや宅建業協会に相談するのも一つの方法です。
手付金と申込金の違い
| 項目 | 手付金 | 申込金 |
|---|---|---|
| 目的 | 契約の成立を確定させるため | 申し込みの意思を示すため |
| 返還の可否 | キャンセル時に返還されない場合が多い | 契約に至らなければ返還される |
| 賃貸契約での使用 | あまり一般的ではない | よく使われる |
このように、手付金と申込金は全く異なる概念であることを理解しておくことが大切です。
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4. 申込金に関する注意点とトラブル防止策


申込金は本来、契約前の「預かり金」であり、契約に至らなかった場合は全額返還されるのが原則です。しかし、実際には「返還不可」と言われたり、契約を強制されたりするトラブルが発生することがあります。ここでは、申込金に関する注意点や、トラブルを防ぐための対策を詳しく解説します。
申込金に関する注意点
申込金は法的に支払う義務はない
申込金は、借主が物件を借りる意思を示すための預かり金であり、法律上、支払う義務はありません。不動産会社の中には、「申込金がないと申し込みできない」と説明するところもありますが、それは間違いです。
ポイント
申込金なしでも申し込みは可能
不動産会社が強制する場合は、その会社の信頼性を疑う
申込金は全額返還されるのが原則
申込金は契約前に支払うものであるため、契約に至らなかった場合は全額返還されるべきです。しかし、不動産会社によっては「返金できない」「手数料として一部差し引く」などと言われることがあります。
ポイント
契約に至らなければ、申込金は全額返還されるのが基本ルール
返金されない場合は、消費者センターや宅建業協会に相談
申込金と手付金を混同しない
不動産会社によっては、「申込金」と「手付金」を混同させるような説明をすることがあります。手付金は契約後に支払うものであり、キャンセル時には返還されないことが一般的ですが、申込金は契約前のものなので、返還されるのが原則です。
ポイント
「この申込金はキャンセルしても返金されますか?」と明確に確認する
書面で「申込金の扱い(返金ルール)」を記載してもらう
申込金の領収書を必ず受け取る
申込金を支払う場合、必ず領収書や預かり証を受け取ることが重要です。万が一トラブルになった際に、「支払った証拠」がないと返還を求めるのが難しくなります。
ポイント
「申込金の領収書」を必ずもらう
領収書には「申込金額」「返還条件」「不動産会社の押印」を確認
申込金に関するトラブルと対策
トラブル①:申込金を返還してもらえない
ケース:「契約しなかった場合は返金する」と言われたのに、実際にキャンセルしたら「返還できない」と言われた。
対策
申込金は預かり金のため、契約しなかった場合は返還が原則
書面や領収書に「返金の条件」が記載されているか確認する
返還を拒否された場合は、消費者センターや宅建業協会に相談
トラブル②:契約を強制される
ケース:「申込金を払ったので、キャンセルできない」「契約しないなら違約金が発生する」と言われた。
対策:
申込金には法的な拘束力はないため、契約前ならキャンセル可能
違約金が発生するのは「契約後」なので、不当な請求に応じない
強引に契約を迫られた場合は、国民生活センターや弁護士に相談
トラブル③:高額な申込金を請求される
ケース:申し込み時に「家賃2ヶ月分の申込金が必要」と言われた。
対策:
申込金の相場は家賃1ヶ月分以下(一般的には1万円〜家賃1ヶ月分程度)
高額な申込金を要求された場合、その不動産会社の信頼性を確認する
「申込金は任意であり、過剰な請求は不当」と主張する
5. まとめ

賃貸契約における手付金と申込金は全く異なるものです。
手付金は契約を確定させるために支払うもので、契約後に借主がキャンセルすると返還されないことが一般的です。一方、申込金は契約前の「預かり金」であり、契約に至らなければ全額返還されるのが原則です。
しかし、不動産会社によっては返還を拒否するケースもあるため、支払い前に書面で条件を確認し、領収書を必ず受け取ることが重要です。また、高額な申込金を請求された場合は慎重に判断しましょう。
安心して賃貸契約を進めるために、手付金と申込金の違いを正しく理解し、トラブルを未然に防ぎましょう!

