賃貸物件の初期費用に含まれるクリーニング代とは?

1. クリーニング代とは何か?

賃貸物件を退去する際、部屋を次の入居者に引き渡すために必要な清掃費用を指します。日本では、多くの場合、賃貸契約時に初期費用として請求されるか、退去時に支払う形で負担することが一般的です。

法律上の位置づけ

クリーニング代に関連する基本的な法律として「借地借家法」や「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」があります。これらでは以下のように規定されています。

ガイドライン

借主は「通常損耗(経年劣化)」について費用負担の義務はありません。

借主が負担すべきは、故意・過失や不注意による汚損・破損部分の修繕費です。

しかしながら、賃貸物件では慣習的に「ハウスクリーニング費用」として、入居者が広範囲な清掃費用を負担する契約が一般的となっています。

クリーニング代に含まれる作業内容

クリーニング代として請求される費用には、以下のような清掃作業が含まれることが多いです。

床やカーペットの清掃

汚れ、シミ、ホコリの除去。

壁紙や天井の拭き掃除

タバコのヤニや汚れを落とす場合も含まれる。

水回りの徹底清掃

キッチン、浴室、トイレ、洗面台のカビや汚れの除去。

エアコンや換気扇の内部清掃

カビやホコリを取り除くため、プロの業者が行う場合が多い。

窓やサッシの洗浄

手の届きにくい場所の掃除も含まれる。

その他の設備の清掃

照明器具、収納スペース、玄関ドア周りなど。

クリーニング代が必要とされる理由

次の入居者への配慮

部屋を清潔で快適な状態に保つことは、不動産業界における標準的な慣習です。

プロの業者による作業が求められる

入居者自身が通常の清掃をしても、専門的な技術や機材が必要な箇所があるため、プロの清掃が行われます。

トラブル防止

次の入居者からクレームが出ないよう、統一された基準で清掃を行う必要があります。

契約時の注意点

クリーニング代について、契約時に確認すべきポイント

契約書に「クリーニング代」または「ハウスクリーニング費用」の明確な記載があるか。

清掃費用が初期費用として徴収されるのか、退去時清算なのかを確認する。

作業内容や範囲について事前に説明を受けておく。

2. クリーニング代の相場はどれくらい?

賃貸物件におけるクリーニング代の相場は、物件の間取りや地域、物件の状態によって異なります。以下に一般的な相場と、その影響要因を詳しく説明します。

一般的なクリーニング代の相場

ハウスクリーニングの費用は、「1平米あたり1,000円程度」が相場となっています。そのため、20平米前後のワンルームであれば、およそ2万円と見積もっておくとよいでしょう。

1R・1K(ワンルーム・1K)

20,000円~50,000円程度
→ 面積が狭いため比較的安価ですが、水回りやエアコンの清掃が含まれる場合、相場は高くなることもあります。

1LDK・2DK(小~中規模の物件)

30,000円~70,000円程度
→ 部屋数が増えることで清掃範囲が広がり、費用が上昇します。

2LDK以上(ファミリータイプ)

50,000円~100,000円程度
→ 大型の物件や築年数の古い物件では、特に高額になる傾向があります。

地域による相場の違い

地域ごとの物価や清掃業者の料金設定によってもクリーニング代は変わります。

都市部(東京、大阪、名古屋など)

→ 人件費が高いため、クリーニング代も高額になりがち。

例:東京23区の1Rで35,000円前後。

地方都市や郊外エリア

→ 業者の競争が少ない地域では、相場が若干下がることもあります。

例:地方都市の1Rで20,000円程度。

物件の状態や築年数による変動

築年数が新しい物件

クリーニング範囲が狭いため、比較的低額になることが多い。

例:築5年以内で30,000円程度。

築年数が古い物件

汚れがたまりやすい箇所が多く、クリーニング範囲が広くなるため高額。

例:築20年以上で70,000円以上になるケースも。

汚れの程度や特別な清掃の必要性

入居者がペットを飼育していた場合や喫煙していた場合、特別清掃が必要になることがあり、追加費用が発生する可能性があります。

具体的なクリーニング内容とその費用内訳

クリーニング代は作業範囲ごとに以下のような内訳が想定されます

  • 床やフローリングの清掃:5,000円~15,000円
  • キッチンや水回りの清掃:10,000円~30,000円
  • エアコン内部の清掃:5,000円~10,000円(1台あたり)
  • カビ除去や防菌処理:10,000円~20,000円
  • 窓やサッシの清掃:5,000円~15,000円

特別費用が発生するケース

喫煙やペット飼育

ニオイや毛の除去、防臭作業が必要になるため追加費用がかかることが多い。

例:20,000円~50,000円の上乗せ。

大規模な汚損

故意または過失での汚れや破損がある場合、別途修繕費が請求される。

初期費用に含まれる場合と退去時清算の場合の違い

初期費用に含まれるケース

一括前払いのため、退去時に追加請求されることは基本的にありません。

メリット:退去時の金銭的負担が軽減される。

デメリット:短期間で退去すると割高感がある。

退去時清算の場合

実際の清掃費用が後から請求されるため、部屋の使い方によって金額が変動します。

メリット:公平な負担が期待できる。

デメリット:高額請求されるリスクがある。

まとめ

クリーニング代の相場は、間取りや地域、物件の状態によって幅があります。契約時にはクリーニング代が初期費用に含まれるのか、退去時に清算されるのかを確認し、特別な費用が発生しそうな条件(喫煙、ペット飼育など)についても注意を払うことが大切です。

3.クリーニング代は初期費用に含まれるべきか?

クリーニング代が初期費用に含まれるべきか、退去時に清算されるべきかは賃貸契約の重要なポイントです。それぞれのケースにはメリットとデメリットがあり、どちらが適切かは状況や契約内容によって異なります。

初期費用に含まれる場合の特徴

初期費用としてクリーニング代が含まれる場合、契約時に前払いする形となります。この方式は、現在の賃貸市場で一般的に見られます。

メリット

退去時の金銭負担が軽減される
→ 退去時にクリーニング費用を一括請求される心配がないため、引っ越し費用など他の出費と重ならず安心。

費用が固定されるため予算管理がしやすい
→ 金額が契約時に確定するため、後から追加請求されるリスクが少ない。

トラブル回避
→ 退去時の原状回復費用をめぐるオーナーとのトラブルを事前に回避できる。

デメリット

短期間で退去した場合に割高感がある
→ 例えば半年や1年で退去する場合でも、全額を負担することになる。

実際のクリーニング費用との差額
→ 実際の清掃費用が低くても、契約時に定額で徴収された金額が返金されることは通常ありません。

賃貸契約の透明性に課題が残ることも
→ 費用の詳細や内訳が不明確な場合、借主にとって不利な条件になり得る。

退去時清算の場合の特徴

退去時にクリーニング代を実際の費用に基づいて清算する方式も、一部の物件で採用されています。

メリット

公平性が高い
→ 実際にかかったクリーニング費用に基づいて請求されるため、使い方が綺麗であれば費用を抑えられる可能性がある。

借主の自由度が高い
→ 借主が自分で清掃を行ったり、特定の業者を選んだりすることで費用を最小限に抑えることができる場合もある。

短期契約の場合に有利
→ 長期間住むことなく退去する場合でも、不要な前払いを避けられる。

デメリット

退去時に高額請求されるリスクがある
→ オーナーや管理会社によっては、クリーニング代が不当に高額になることも。

退去時の負担が大きい
→ 引っ越し費用や新居の初期費用と重なるため、退去時に大きな出費が発生する。

トラブルが発生しやすい
→ 退去時に原状回復の範囲や費用について借主とオーナー間で意見が食い違うケースがある。

含まれるべきかどうかの判断基準

クリーニング代が初期費用に含まれるべきかを判断するには、以下のポイントを確認することが重要です。

契約内容の透明性

契約書にクリーニング代の具体的な金額や作業内容が明記されているか確認しましょう。

明確な記載がない場合、退去時に予想外の請求が発生する可能性があります。

ライフスタイルとの相性

短期的な入居予定なら、退去時清算方式の方が割安になる可能性があります。

長期入居の場合、初期費用に含まれている方が安心です。

物件の条件

築年数が新しく清掃範囲が限定されている物件なら、退去時清算が適している場合があります。

ペット飼育や喫煙可能な物件では、クリーニング代が初期費用に含まれている方がトラブル回避につながります。

他の国との比較:日本の特徴

日本では、クリーニング代が初期費用に含まれることが多い一方で、他の国では「退去時清算」が主流の地域もあります。日本の賃貸市場ではオーナーと借主間のトラブルを避けるため、前払い方式が一般的になっています。

4.クリーニング代に納得できない場合の対応策

賃貸物件の退去時に提示されるクリーニング代が高額だったり、納得できない場合は、冷静かつ適切な対応が求められます。以下に具体的な対応策を詳しく解説します。

契約書を確認する

まずは契約書や重要事項説明書を確認し、クリーニング代に関する記載があるかをチェックしましょう。

クリーニング代が「特約」として明記されている場合

→ 特約が有効であれば、契約書に記載された金額を支払う義務があります。ただし、特約が法律に反していないかを確認する必要があります(後述)。

特約がない場合

→ クリーニング代は「通常損耗」や「経年劣化」の範囲内として扱われ、借主が負担する義務がない可能性があります。

原状回復義務との関係

→ 国土交通省が定める「原状回復ガイドライン」に基づき、通常使用による汚れや劣化は借主の負担ではないことを確認しましょう。

明細書の提出を求める

クリーニング代の具体的な内訳がわからない場合、管理会社またはオーナーに明細書の提出を求めます。

明細書の内容に注目するポイント

清掃範囲:どの部分が対象となっているか(例:床、窓、エアコン)。

作業内容:通常清掃か特別清掃か。

金額の妥当性:地域の相場と比較して過剰に高額でないか。

不明瞭な場合は説明を求める

納得できる説明がない場合は、管理会社に詳細を問い合わせましょう。

納得できない場合の交渉方法

クリーニング代に疑問がある場合、以下のように冷静に交渉します。

相場との比較を提示

地域のクリーニング業者の相場を調べ、提示された金額が不当に高額である場合はそのデータを基に交渉します。

第三者による見積もりを依頼

自分で専門業者に見積もりを依頼し、それを管理会社に提示することで過剰請求を指摘できます。

ガイドラインを基に交渉する

国土交通省の「原状回復ガイドライン」を参照し、通常損耗や経年劣化に該当する部分については支払い義務がないことを伝えます。

法的に問題がある場合の対応

提示されたクリーニング代が不当に高額で、交渉が難航する場合は、法的な視点から対処する方法を検討します。

「原状回復ガイドライン」に基づく請求

通常の使用による汚れや経年劣化は借主の負担ではないため、それを超える請求は不当です。この点をオーナーまたは管理会社に説明します。

消費者センターに相談

契約内容や請求額に疑問がある場合、地域の消費者センターに相談することで適切なアドバイスを受けられます。

弁護士や専門家に相談

トラブルが解決しない場合は、賃貸契約に詳しい弁護士や専門家に相談し、法的な手段を検討します。

交渉時の注意点

感情的にならない

冷静に事実を伝え、双方にとって合理的な解決を目指しましょう。

記録を残す

交渉の内容ややり取りはメールや書面で残すようにします。後から証拠として活用できます。

自分の権利を正しく理解する

借主には不当な請求を拒否する権利があります。「契約書」「ガイドライン」を正しく理解して、権利を主張しましょう。

自分で清掃を行う選択肢

契約上でクリーニング代が明記されておらず、自分で清掃することが認められている場合は、徹底的に清掃を行うことでクリーニング代を削減できる可能性があります。

具体的な清掃箇所

フローリングやカーペットの汚れ除去。

キッチンや浴室の水垢・カビ取り。

窓やサッシの清掃。

写真を撮影する

清掃後の部屋の状態を記録として残し、退去時に管理会社に証拠として提出します。

5.クリーニング代の透明性を高めるポイント

賃貸契約において、クリーニング代の透明性が高ければ、借主とオーナー間のトラブルを未然に防ぐことができます。以下では、クリーニング代の透明性を確保するための具体的なポイントを解説します。

契約書に明確な記載を求める

クリーニング代の透明性を確保するためには、契約書に具体的な記載があることが重要です。

明確に記載すべき内容

金額
→ クリーニング代の金額が固定されているか、または実費精算かを明記。

清掃の範囲
→ 清掃が必要な箇所(例:床、窓、キッチン、エアコン)を具体的に記載。

特約の内容
→ クリーニング代が特約として記載されている場合、その範囲が国土交通省の「原状回復ガイドライン」に違反していないかを確認。

事前確認のポイント

契約書に「クリーニング代は退去時に〇〇円」と明記されているか。

曖昧な表現(例:「実費」や「原則借主負担」)がないか。

事前に明細書の提示を求める

契約前にクリーニング代の明細書や見積もりを確認することで、透明性を高めることができます。

確認すべき点

内訳
→ 清掃箇所とその料金(例:エアコン清掃10,000円、フローリング清掃15,000円)。

業者名
→ 清掃を行う業者が信頼できるかを確認。

相場との比較
→ 提示された金額が地域の相場に合っているかどうか。

交渉の余地

不明瞭な箇所がある場合は説明を求め、納得できる場合にのみ契約を進める。

原状回復の範囲を理解する

クリーニング代の請求が妥当かどうかは、「原状回復」の範囲を理解することにかかっています。

国土交通省のガイドラインに基づくポイント

通常損耗や経年劣化は借主の負担ではない
→ 日常使用による壁紙の汚れやフローリングの傷などはオーナーの負担。

故意または過失による汚れは借主負担
→ ペットによる汚損や喫煙によるヤニ汚れは借主の責任。

契約前の確認事項

通常の使用による汚れをクリーニング代に含める旨の記載がないか。

原状回復ガイドラインに準拠しているか。

トラブルを防ぐための写真記録

入居時と退去時に部屋の状態を写真で記録することで、クリーニング代の妥当性を確認する際の証拠になります。

入居時の写真

各部屋の床、壁、天井、設備(エアコン、キッチンなど)を撮影。

既存の汚れや傷がある場合、管理会社に報告。

退去時の写真

退去直前の清掃後の状態を撮影。

クリーニング代が発生する場合に備えて記録を残す。

事前にクリーニングを行う選択肢

借主が自分でクリーニングを行うことで、不要な費用を削減できる場合もあります。

自分でクリーニングを行う際のポイント

清掃業者の基準を確認
→ 管理会社やオーナーが指定する清掃基準を満たす必要があります。

業者を選ぶ自由を確認
→ 特定の業者が指定されている場合、それが合理的であるか契約前に確認。

清掃箇所

キッチン、浴室、トイレの水回り。

窓ガラスやフローリングの拭き掃除。

エアコンのフィルター清掃。

消費者センターや専門家の活用

不透明なクリーニング代について疑問が解決しない場合、第三者の助けを借りるのも有効です。

消費者センターに相談

不動産契約に詳しい相談員が対応。

契約内容の適法性や不当請求の可能性を判断。

弁護士や行政書士に相談

法的な観点から契約内容や請求の妥当性を確認。

交渉が難航する場合の代理交渉も依頼可能。

入居前に不動産会社やオーナーと話し合う

契約前の段階でクリーニング代について透明性を確保するために、不動産会社やオーナーと詳細を確認しましょう。

具体的な質問例

クリーニング代は退去時精算か、それとも初期費用に含まれるのか?

金額は固定か、それとも実費か?

見積もりや明細書を事前に提示してもらえるか?

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6. まとめ

賃貸契約におけるクリーニング代は、初期費用や退去時の負担として重要なポイントです。契約時には、金額や範囲が明確に記載されているかを確認し、曖昧な表現や不当な特約には注意しましょう。

また、国土交通省の「原状回復ガイドライン」に基づき、通常損耗や経年劣化の費用は借主負担ではないことを理解することが大切です。トラブルを防ぐために、入居時と退去時の状態を写真で記録し、不透明な請求があれば明細書の提示を求めるとよいでしょう。

さらに、消費者センターや専門家への相談も選択肢に入れるべきです。クリーニング代の透明性を確保し、不当な請求を回避することで、安心して賃貸契約を進められます。